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未来篇〜放浪篇の近未来SFファンタジー路線から、初期三部作の現代SF伝奇ロマン路線に戻そうというテーマで制作が進められたのが完結篇です。
で、魔胎伝〜未来篇〜放浪篇と9巻にわたって続いた狂王と武獣、ミュンヒハウゼンの物語を無かった事にするというかなり強引な手法。シリーズを順を追って見ていると、いきなり訳がわからなくなります(笑)。
初期三部作の絵やBGMをそのまま流用したりと、いろいろとツッコミどころも多く、動画枚数をケチっているせいか動きがガクガクな所もやたら目につくので、アニメーションとしてはいい出来ではありません。

なお、制作サイドの問題(偉い人が逮捕されたとか何とか)で、結局完結篇は一巻しかリリースされませんでした。なので、全体的なストーリーの評価はできませんが、明美が南雲の手の上に乗るシーンや天邪鬼が超神に訴えかけるシーンなど、初期三部作のシチュエーションをそのまま流用している部分が多発します。旧作ファンに対するサービスなのでしょうが、逆に旧作と比べてしまい逆効果になってしまっている気がします。

まあ、もう絶対に続きは見れないんでしょうけど……。

第一話「真・超神降臨」


[ストーリー]


狂王ヒミと超神に化けた魔界の王の戦いにより、南雲が破壊神となってからの100年の時がどこかへ吹き飛んでしまった。
気がつくと、天邪鬼は南雲が三界の破壊をはじめたその次の日にいた。
そして、大阪城にいた明美の体から超神が誕生する。超神は両性具有の新種族を作り出し、三界の住人に攻撃を仕掛けてくる。彼らは他者の精神に干渉する力を持っており、そのせいで人間・獣人・魔人は欲望をむき出しにし、殺戮、陵辱を繰り返していた。そして天邪鬼ですらその影響から逃れることはできなかった。
そんな中で超神の尖兵ミヅチと戦った天邪鬼は、その圧倒的な力の前に敗北し、死の淵をさまようこととなる。しかし臨死体験の中、別の世界に飛ばされた狂王ヒミと出会い、狂王の力を手に入れて甦る。
天邪鬼、そして普通の人間に戻った明美を助けたのは、地下に潜って活動を続けていた政府の特務機関だった。生き残った人間たちと魔界の魔人たち、そして超神の尖兵たちは三つ巴の戦いを繰り広げる。
破壊神として死すべき運命をもった南雲。南雲に献身的な愛を注ぐ明美。そして、超神の新世界作りに反発し、超神に宣戦布告する天邪鬼。
すべての因縁が収束する……。

はず、といった所で続編なし(泣)


[ひとことツッコミ]

・いきなり中途半端なリセットボタンかましてくれた制作陣に賛否両論。しかも一話だけ出して終わっちゃうし。

・天邪鬼がいきなり「100年の時を吹き飛ばしたんや!」とこじつけ説明を語りますが、その中でいきなり「ヒミ様」と狂王を様づけしてます。「さすが狂王ヒミ様のお力や」とか。最初狂王殺そうとしてたくせに。何か完結篇でいきなり狂王って神格化されてる……。

・一応100年は経過しているけれど、明美が超神を宿した翌日、となかなか謎な設定です。天邪鬼が明美に「100年もご苦労様やったな」と声をかけるシーンもありますが、明美は素で返してたので……。多分、制作側も無理矢理こじつけて作った論理なんでしょう。どう考えてもどこかに綻びが……。

・気を取り直して、ついに誕生した真の超神。初期三部作ラストでは「数世紀の後に」と言ってたのですが、初期三部作の劇場版でははっきり100年と言っているので、劇場版設定がデフォルトになったわけですが……。劇場V2ではラストに「数世紀」のバージョンの方を使っていた、というのはナイショ。でもその100年が無かったことにされてるせいで、実質明美に宿って1日で産まれてることに。えーと……わけわからんなあ。

・初期三部作で南雲に殺された黒子が生き返っている謎。

・とりあえず超神の姿は不明。出てくるのは光の粒子のみ。

・超神を産んだ後、普通の女の子に戻った明美。彼女を大阪城から連れ出す際、天邪鬼は「普通の女の子として暮らしていくんや」とか言ってますが、三界は崩壊済みでまわりは地獄絵図だというのにどう暮らせと……。

・どうでもいいけど、明美別人。

・両性具有の新人類により重傷を負い、臨死体験する天邪鬼。その中でヒミに出会うわけですが、「無かったことにした」くせにヒミだけはキーパーソン扱い……。武獣もシーザーもアレクトーもミュンヒハウゼンすら欠片も出てこないのに。

・結局、狂王の力を手に入れたのは天邪鬼。超神と狂王が相対するものという設定は生きているようなので、超神vs天邪鬼の総力戦になるんだろうなぁ、というのが本来あったはずの展開の予想。うーむ、なんだかなぁ。

◆超神伝説うろつき童子 放浪篇3